2012年12月9日日曜日

勉強会の風景(続く)


今日は、雪が各地で降り積もったという報道とは裏腹に、模擬国連は勉強会目白押しだったようだ。

私も、自分が個人開催する会議の勉強会を行ってきた。



企画している個人開催会議は、来年度に新しいメンバーを迎えることになる大学1年生に、
不安を取り除くためのスキルアップを提供しようとするものだ。

特に重要視していることは、文言の作成とその削除交渉だ。

最近は、条約交渉型会議や決議がそもそも作成されない会議が増えているが、
私は文言作成とその交渉こそが模擬国連活動の醍醐味だと思っている。

今のメンバーは、新入生大使を迎えるにあたって、文言の作り方を自分なりに習得していてほしい。
そうでないと、会議に自信無さげなまま運営の波にさらわれて、次に会議を楽しむ日が無くなってしまうから。


勉強会では、今期行われた前期会議の決議案をピックアップし、その欠点を浮き彫りにする作業を行った。
主文に対応する前文をチェックするだけで、前文のない主文がたくさんあることを、参加者は知ったようだった。

前文が無い主文――それは、主文の文言がなぜ必要なのか、明らかにされていないことを意味する。
これは決議案の体裁としてはよろしくないだろう。

根拠も必要性も確認されないまま、国家や国際機関へ要求が羅列されていたという事実に、参加者は驚いていた。
私自身も、教材を恣意的に選んでいたとはいえ、前文と主文の未対応の現実には驚愕せざるを得なかった。

例を挙げる。格差問題などを列挙している前文に対して、主文では農業教育の整備を謳っている。
深読みすれば関連性はあるけれども、格差が存在することからどうしたら農業教育が必要になるのか、直接的な言及がない。

これは「風が吹けば桶屋が儲かる」型の文言でしかない。

ところが、半数の主文がこういった桶屋文言だったのだ。


前文と主文の関係を考えたのちに、文言の意味を増幅/減少させる練習も行った。

「コメントによる削除要求」が文言交渉であふれかえり、結果的に文言製作者が妥協せざるを得ない。
そんな現実を打破するために、削除要求を前提としない文言の意味を弱める方法として、
動詞の変化と類義語の多用を紹介した。


最後に、即席の文言交渉(核軍縮交渉)を行い、勉強会は終了したが、
参加者の演習を見ていた私としては、今後の模擬国連を担う新星たちに大いなる期待を抱かせてもらった。

特に、参加者2名が秋から入ってきたメンバーだったが、
そのメンバーに知らない情報を教えつつ、協調して学び合う姿は感銘を受けた。
勉強会を開催した人間として、今日の3時間は誇りに思える時間だった。




だが、今回の勉強会で確認したことをもって、私が持っていた「ある問題意識」はさらに増幅したのである。(続)

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